着目点としては面白い
2005年12月30日 時事ニュース秋田県内のJR羽越線で発生した特急事故の原因として、「マイクロバースト」が挙がっているという。
マイクロバーストとは、地上付近で極めて局地的かつ瞬間的に生ずる強烈な下降気流のことである。離着陸態勢中の航空機がこれに引っかかると文字通り地面に叩きつけられることになる。日本ではあまりお目にかからない事故原因であるが、アメリカでは内陸部の空港の一部に好発地帯があり、70年代に事故が続発して問題となった。
余談だが、現在は局地気象レーダー(ウインドシア・レーダー)のおかげで未然に事故を防ぐことがある程度可能になってきており、これが原因となる事故も激減しているのでアメリカ旅行の予定のある方はご安心いただきたい。
今回の事故は、運行制限が出やすい(つまり荒天になりやすい)場所で発生したが、事故当時現場付近に設置されていた風速計は運行に支障のない状況を示していた。
事故直後の報道で風速計の数が足りないと言う指摘があったようだが、空港でもそんなに多くの風速計があるわけではない。ましてやこれまで重大なインシデント(事故直前の状況)が報告されていたわけでもなさそうで、事実上ノーマークとなっていたのは致し方がないといえるだろう。あの余部橋梁ですら86年の転落事故以前は両端にしか風速計がなかったのだ。
閑話休題。
付近にあった風速計の計測値が運行制限範囲外であったため、事故を起こした「いなほ14号」は特段の制限を受けずに現場に進入した。
しかし、運転士は風が強いと感じたため自主的に減速していた(この点に関しては他の運転士からもヒアリングを行ってこの場所を彼らがどのように判断・認知していたのかを明らかにしておく必要があるだろう)。
にもかかわらず、列車は突風を受け、運転士の判断をあざ笑うかのように脱線・横転してしまった。
すなわち、極めて限局された地域内で重いことでは定評のある国鉄型車両を横倒しに出来るほどの突風が吹いた可能性が高いと言うことになる。マイクロバースト発生の可能性にたどり着いた今回の事故調査委員会の判断は的確なものと言えるだろうと確信している。
ただ、気象のような運行に必要な情報のやり取りについて、現在の鉄道システムはかなり旧態依然とした面があるのも否めない。何も日本に限った問題ではないのだが、風速計についての今回のマスコミの指摘はそこそこ的を得てもいる。列車と運行管理者との間の情報伝達システムについては、質・量・速度ともに劇的と言い得るほどの改善が必要であることを今回の事故は示唆してくれているように思える。羽後本荘で下車した母子が行方不明者としてピックアップされてしまった件も含めて。
政府も採算が取れるかどうか怪しげな新幹線を延伸するぐらいなら、終戦直後あたりからあまり進歩の見られない在来幹線の情報も含めたすべての面の質的向上を図ったほうがはるかに安上がりに高速鉄道網を構築できると思うのだが…
マイクロバーストとは、地上付近で極めて局地的かつ瞬間的に生ずる強烈な下降気流のことである。離着陸態勢中の航空機がこれに引っかかると文字通り地面に叩きつけられることになる。日本ではあまりお目にかからない事故原因であるが、アメリカでは内陸部の空港の一部に好発地帯があり、70年代に事故が続発して問題となった。
余談だが、現在は局地気象レーダー(ウインドシア・レーダー)のおかげで未然に事故を防ぐことがある程度可能になってきており、これが原因となる事故も激減しているのでアメリカ旅行の予定のある方はご安心いただきたい。
今回の事故は、運行制限が出やすい(つまり荒天になりやすい)場所で発生したが、事故当時現場付近に設置されていた風速計は運行に支障のない状況を示していた。
事故直後の報道で風速計の数が足りないと言う指摘があったようだが、空港でもそんなに多くの風速計があるわけではない。ましてやこれまで重大なインシデント(事故直前の状況)が報告されていたわけでもなさそうで、事実上ノーマークとなっていたのは致し方がないといえるだろう。あの余部橋梁ですら86年の転落事故以前は両端にしか風速計がなかったのだ。
閑話休題。
付近にあった風速計の計測値が運行制限範囲外であったため、事故を起こした「いなほ14号」は特段の制限を受けずに現場に進入した。
しかし、運転士は風が強いと感じたため自主的に減速していた(この点に関しては他の運転士からもヒアリングを行ってこの場所を彼らがどのように判断・認知していたのかを明らかにしておく必要があるだろう)。
にもかかわらず、列車は突風を受け、運転士の判断をあざ笑うかのように脱線・横転してしまった。
すなわち、極めて限局された地域内で重いことでは定評のある国鉄型車両を横倒しに出来るほどの突風が吹いた可能性が高いと言うことになる。マイクロバースト発生の可能性にたどり着いた今回の事故調査委員会の判断は的確なものと言えるだろうと確信している。
ただ、気象のような運行に必要な情報のやり取りについて、現在の鉄道システムはかなり旧態依然とした面があるのも否めない。何も日本に限った問題ではないのだが、風速計についての今回のマスコミの指摘はそこそこ的を得てもいる。列車と運行管理者との間の情報伝達システムについては、質・量・速度ともに劇的と言い得るほどの改善が必要であることを今回の事故は示唆してくれているように思える。羽後本荘で下車した母子が行方不明者としてピックアップされてしまった件も含めて。
政府も採算が取れるかどうか怪しげな新幹線を延伸するぐらいなら、終戦直後あたりからあまり進歩の見られない在来幹線の情報も含めたすべての面の質的向上を図ったほうがはるかに安上がりに高速鉄道網を構築できると思うのだが…
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