私の日記リンクには、医師の方のものが多い。

仕事柄病院に出入りすることが多いので興味を持って見ている訳だが、やはり医療現場の勤務は過酷である。
しかも、ひとたび事故が起きればあっという間に世間からヤブのレッテルを貼られて、運が悪ければ業務上過失致死傷罪で罪人にされてしまう。

たしかに、医師や他のスタッフの注意義務怠慢や技量上の問題が原因だったり、中には許されがたい行為による事故もあるのだが、報道される事故の中には検挙が適切かどうか素人の私ですら首を傾げざるをえない事例も少なくない。また、刑事・民事の責任追及を優先させた結果肝心の事故原因の追究がお留守になっている事例もあるようだ。なぜなら、すべての捜査優先権は司法にあり、収集した証拠はめったに外に出されないからだ。

同じことは航空機や鉄道の事故でもいえるし、日本の海事審判も司法との二重罰を与える機関になってしまっているようで本来の原因究明の場になっているとはいえない。
ましてや、医療事故については野放しの状態と言ってもいい。

これらの事故については、責任問題を追及する捜査機関とは別に専門家と訓練された調査スタッフによる純粋な原因究明のための期間が必要だと思うのだがいかがだろうか。

たとえば、アメリカの交通関連の事故の場合、NTSB(National Transportation Safety Board)という独立機関が存在する。
航空機からパイプラインやバスにいたるまで、公共交通の事故全般を調査し、原因を究明するとともに再発防止策を提言する機関である。
司法とも、利害が絡む担当省庁からも独立しており、ここに直接物申せるのは合衆国大統領だけということである。
boardの名の通り、調査過程において幾度も公聴会を開き、事故当事者や機械製造者、専門の研究者や技術者の意見を公開の場で聞き取り調査過程の透明性を維持している。

さらにすごいのは、法律によってこの機関が出した調査結果は、司法の場で証拠物件として扱ってはならないことになっていることだろう。組織の中立性を維持するとともに、発言者に不利益が生じないことでごまかしのない証言や意見を出させ、事故原因の追究と再発防止策の提言を確固たる物にしていこうという事だ。
このやり方は医療事故の調査でも有効に生きると思うがいかがだろうか。ただし、このやり方は一種の司法取引でもあるのでそちら方面についてのわれわれ国民の意識改革も必要になってくるのだが。

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